オレゴン州立大学のコンピュータサイエンス第2学士号オンラインプログラムに合格するまで
申請から合格までの手順や合格率を上げるコツ、学費を安くするTipsを紹介します
こんにちは、Masaki Nishi@Twitterです。
私は現在、エンジニアをしていますが、日本の大学の文系学部を卒業しています。仕事をしていく上で、どうしてもコンピュータサイエンスを体系的に学びたい気持ちが芽生えてきたため、コンピュータサイエンスの第2学士号をオンラインで取得できるオレゴン州立大学のプログラムに出願していました。
そして最近、オレゴン州立大学のコンピュータサイエンス学部の第2学士号プログラムに合格しました。
そういえば、こつこつとオンラインでアメリカの大学でコンピュータサイエンスと数学の単位を取得し、コンピュータサイエンスの第二学士号を取得するために編入学の準備をしてました。
最近無事に日本の文系卒からオレゴン州立大学のCS学部に編入が認められました。完全オンラインで学士取れます。
— Nishi🇺🇸海外系エンジニア (@ni_5h1) April 9, 2022
その時の上記ツイートの反響が結構あったため、出願から合格までの手順をまとめていきたいと思います。
働きながらでもアメリカの大学のコンピュータサイエンス学士を最短1年で取得できるということで、同じようにエンジニアとして働いていて、コンピュータサイエンスを学びたい人に役立つ内容かと思います。
オレゴン州立大学以外に検討していた大学については以前の記事「オンラインでコンピュータサイエンス第2学士取得・編入可の海外大学まとめ」でまとめています。
オレゴン州立大学のコンピュータサイエンス第2学士号オンラインプログラム(Oregon State University – Computer Science (Postbacc) – Undergraduate Degrees Online)
学費、入学要件等や第2学士号プログラムと編入の違いは以前の記事「オンラインでコンピュータサイエンス第2学士取得・編入可の海外大学まとめ」にまとめています。
この記事では、各出願要件をどのように満たしていくか、低いGPAをどのようにカバーするか、必要な申請書類やトータルの学費を安くする方法を解説していきます。
各出願要件と注意点
日本からの国際出願では以下が要件となります。
- コンピュータサイエンス学部を除いたアメリカの4年間の学士号と同等の学位を持っていること
- 以前の学士号のGPAが最低でも2.75あること
- TOEFL iBT 80以上
- College Algebra(大学代数学)かPre-Calculus(微積分の前段階)の単位をB以上で修了していること、もしくはCalculus(微積分)をC以上で修了、もしくはAP Calculus(応用微積分)のテストで3以上のスコアを取っていること
1. コンピュータサイエンス学部を除いたアメリカの4年間の学士号と同等の学位を持っていること
この要件に関しては特に説明することもないですが、準学士号や大学3年次中退等は考慮されません。
また、工学部情報工学科など、コンピュータサイエンスと同等とみなされる学士号を持っている場合は入学できません。
2. 以前の学士号のGPAが最低でも2.75あること
海外の掲示板によると、年々GPAの要件が厳格化されているようですが、GPAに関しては最低要件より低くても、卒業後から何年も経ち、エンジニアとしての職歴がある場合や、卒業後にコンピュータサイエンスの講義をコミュニティカレッジなどで高いGPAでパスしている場合は、考慮されるようです。
私の場合は2年ほどのエンジニアとしての職歴があり、コミュニティカレッジで先行してコンピュータサイエンスの基礎講義をオンラインで取得(GPA4.0)して出願しました。
コミュニティカレッジでのオンラインでの講義受講等は学費節約に繋がるため、後ほど解説します。
3. TOEFL iBT 80以上
下記全て受け付けているようです。個人的にデュオリンゴのテストが1番楽かつ費用も圧倒的に安く済むのでお勧めです。
- 80 iBT TOEFL (minimum 16 subscores)
- 6.5 IELTS
- Two English composition courses from a recognized college or university in the US with grades C- or better OR one English composition and one speech communication course with grades C- or better
- 110 Duolingo
私はTOEFLを提出しましたが、MyBestScoreは受け付けないので、一度のテストで80以上取得する必要があります。
英語要件に関しては1点でも低いと足切りされますので注意が必要です。
4. 数学要件
こちらの要件が1番重要です。もしプログラムに受け入れられた場合、入学後に数学のテストがあり、そこで基準点をパスする必要があるため、ブランクがある方、英語で数学の問題を解くことに慣れていない方は、入学前に数学要件に含まれている数学の講義をアメリカの大学で受けることをおすすめします。
要件は下記3点のどれかを満たせば大丈夫です。
- College Algebra(大学代数学)かPre-Calculus(微積分の前段階)の単位をB以上で修了
- Calculus(微積分)をC以上で修了
- AP Calculus(応用微積分)のテストで3以上のスコアを取っていること
私は数学の単位を一つも持っていなかったため、アリゾナ州立大学のCollege Algebra(MAT117)を取得しました。講義はALEKSというサービスでオンラインかつセルフペースで学習できるため、早い人で1週間とかで単位を取得できます。費用は$425 x 3 creditで$1,275です。
講義の進め方としては、最初に実力テストのようなものをシステムで実施し、スコアの成績に合わせて400ほどあるトピックから学ぶ必要のあるトピックが自動でアレンジされます。成績が悪いとほぼ全てのトピックをゼロから学ぶ必要があるため、完了まで数ヶ月かかるかと思います。9割ほどトピックを完了させると、テストを実施できる権利が与えられ、1回受けられる最終テストのスコアが講義の成績に100%反映されます。
内容としては、高校数学+大学数学という感じで、難易度はイージーです。日本の数学の教育レベルの高さを実感しました。私は高校を卒業してから7~8年ほどブランクがあり、コミュニティカレッジで他のコンピュータサイエンスの講義と並行して大学代数学の講義を受けていましたが、2ヶ月ほどで単位取得できました。
予め、数学の専門用語を英語でインプットすると良いです。こちらのブログがおすすめです。
将来的に機械学習・AI等を専門にしたい場合は大学代数学の他に、微積分も受講しておくと良いかもしれません。
【追記】上記MAT117の講義を受けてみた感想を記事にしました:「社会人エンジニアがアメリカの大学で苦手な数学を学び直してみた」
必要な申請書類と準備
氏名や住所、国籍等の申請に必要な基本的な個人情報の書類を除き、下記書類を準備しておく必要があります。申請の段階では公式書類ではなく、仮書類として電子データを公式サイトの国際出願用ページのフォームに添付もしくは出願後に送信されるメールアドレスに添付返信する形で提出します。
- 公式成績証明書
- 卒業証明書
- レジュメ
- Statement of Objectives (Post-Bacc)
- 英語能力証明書類
1. 公式成績証明書
今まで通った全ての大学以上の学術機関の成績証明書を提出する必要があります。
プログラム合格後は、スタンプ付きの封がされている物理書類を郵送するか、以前の大学のアドミッションから直接オレゴン州立大学のアドミッションのメールアドレスに電子データを送信する必要があります。
2. 卒業証明書
英文卒業証明書を以前の大学が発行してくれない場合、卒業証書等を認定された機関で翻訳してもらい、原本と翻訳済み書類を提出する必要があります。
私はRushTranslateを使用しました。ATA(American Translators Association)で認可されているかつ、3000円ほどですぐ翻訳してくれました。卒業証書は習字長の文字でしたが、問題なく翻訳されてました。
3. レジュメ
レジュメはkickresumeを使用して作成しました。無料のテンプレート等も探せばたくさん見つかりますが、日本の履歴書とは違い、様式が定まっていないため、他人と差別化し、際立たせることが大事なので、課金した方が良いです。
4. Statement of Objectives
おそらく1番重要な書類です。150~200語で、なぜこのプログラムに入りたいのかをアピールします。
GPAが低い人はここで弁明ができます。単なる言い訳だけでなく、なぜ自分はこのプログラムに適任なのか、どうやってこのプログラムを良い成績でやり遂げるのかを詳しく説明した方がいいです。
5. 英語能力証明書類
各テストを実施している機関が、スコアレポートを直接各大学に送れるような仕組みを持っているので、送りましょう。
単位移行でトータルの学費を安くする方法
オレゴン州立大学のコンピュータサイエンス第2学士号プログラムでは、15クレジットまでの移行が許可されています。しかし、実際は4講義=16クレジットの移行まで可能だそうです。
オレゴン州立大学では1講義=4クレジット=$2,108のコストですが、オレゴン州の他のコミュニティカレッジの場合、1講義=4クレジット=$1,500ほどでひとつの講義を受講することができます。
そのため、単位移行により、最大$600 x 4 = $2,400ほど学費を浮かすことができます。
ということで、冒頭の方で説明しましたが、GPA要件を満たすためにコミュニティカレッジで先行してコンピュータサイエンスの講義を取得した場合、単位移行できることになります。
オンラインでコンピュータサイエンスの講義を実施しているオレゴン州立内のコミュニティカレッジ一覧
オレゴン州立大学に単位移行できるオレゴン州内のコミュニティカレッジで、コンピュータサイエンスの講義を提供しているコミュニティカレッジは以下となります。
- Umpqua Community College
- Portland Community College
- Lane Community College
- Clackamas Community College
- Linn-Benton Community College
- Mt Hood Community College
- Southwestern Oregon Community College
- Rogue Community College
- Chemeketa Community College
各カレッジごとに、どのプログラミング言語で教えているのか、留学生費用はあるのかなどが変わりますので、注意が必要です。
また、どの科目を単位移行するかは非常に重要で、後半に受講する講義が、とある前提講義の延長だったりする場合があり、下手に前提講義を他のコミュニティカレッジで取得してしまった場合、スムーズに上位の専門講義を進められない可能性があります。
上記諸々を考慮し、私は単位移行する講義と受講するカレッジを以下としました。
- CS161 – Intro to Computer Science I (Clackamas Community College)
- CS162 – Intro to Computer Science Ⅱ (Clackamas Community College)
- CS260 – Data Structure (Clackamas Community College)
上記3つの講義は連動しているため、全てコミュニティカレッジで受講します。
オレゴン州立大学では、上記の講義でPythonを教材として使用しているそうですが、私の場合C++で学びたかったため、Clackamas Community Collegeを選択しました。
また、Clackamas Community CollegeはAdmissionの返信・対応が速く丁寧だったのと、Rate My Professorsでの講義の評判も良かったため、選択しました。この二つはカレッジ選びにとても重要なので、よく確認しましょう。今のところ、CS161を受講し終え、CS162を受講中ですが、Clackamas Community Collegeおすすめです。
また、離散数学に関してはノースダコタ大学のオンライン講義を受講する予定です。こちらもアリゾナ州立大学の大学代数学と同様にセルフペースの講義になります。
【追記】上記CS161, CS162, CS260の講義を受けてみた感想を記事にしました:「現役エンジニアがアメリカの大学でCSの単位を取得してみた所感」
- Math208 – Discrete Mathematics (University of North Dakota)
また、単位移行以外にも、奨学金が適用される可能性もあるため、アドミッションに確認すると良いと思います。私は$6000(約80万円)ほどの奨学金が適用されてました。
【追記】上記Math208の講義を受けてみた感想を記事にしました:「社会人エンジニアがアメリカの大学で苦手な数学を学び直してみた」
プログラム卒業者の進路
RedditのHiring Threadに卒業生の進路が詳しく書かれているので、興味があれば読んでみてください。
前職の経験・学位、今のGPA、今のプログラムの進捗具合、ジョブタイトル、企業名、給与等が赤裸々に書かれています。(日本と比べると大幅に給与高いなぁ….)
卒業後に大学院に進んでいる方もちらほらいるようです。
まとめ
個人差はありますが、計画的に進めれば半年〜1年ほどで出願できるのではないでしょうか。
今後は仕事と両立し、1年半ほどでの卒業を目指しています。随時TwitterかYoutubeで発信しようと思うので、興味ある方はフォローお願いします!
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