大学生がサンフランシスコ・シリコンバレーでインターンする方法

実際に2年弱サンフランシスコでソフトウェアエンジニアインターンをしていた僕が説明します

こんにちは、です。

まず自己紹介ですが、僕は、大学3年次を修了してすぐに「2年間」休学し、サンフランシスコ・シリコンバレーのbtrax, inc.にてソフトウェアエンジニアインターンをしていました

2年間という期間で、たくさんの人と会うことができ、その中には世界中からサンフランシスコ・シリコンバレーにインターンをしに来ていた方たちがいました。

そんな同志たちが、どのようにしてサンフランシスコ・シリコンバレーに来たのかという話をよく聞く機会がありましたので、実際にサンフランシスコ・シリコンバレーでインターンをする方法をまとめていきます。

また、実際に僕がどのような経緯で、サンフランシスコ・シリコンバレーでソフトウェアエンジニアとしてインターンできたのかという話をしていきます。

有給インターンか無給インターンかで難易度がケタ違いに変わる

まず、大前提としてアメリカでのインターンは、

  • 無給インターン
  • 有給インターン

の二つに分けられるかと思います。というのも、アメリカで就労するには「ビザ」という避けられない問題があるからです。

給与が支払われるとなると、正式に「就労」とみなされるので、ビザの取得のハードルがかなり高くなります。

無給インターンはただの職場体験

アメリカでは無給インターンであれば、「ESTA(観光ビザに近いもの)」や「F1ビザ(学生ビザ)」でも可能とされています。

しかし、アメリカでは企業が学生を無給や最低労働賃金以下で働かせるのは違法となりえるのが実情です。

原則として、「仕事そのものが学生の利益・勉強となっていること」が必要で、「インターン終了時に正社員になると約束しないこと」が前提となっています。さらに、そのうえで「インターンに正社員の仕事をさせないこと」や「インターンが他の社員または雇用者から直接指導やトレーニングを受けること」を企業側は守る必要があります。

つまり、企業が真っ当に学生をインターンとして受け入れるのはコストが掛かるので、裏では安い賃金で雑用をさせたり、学生を受け入れることで、留学斡旋エージェントなどからお金をもらうなどをしている企業が存在するのも事実です。

グーグルで調べてみるとわかりますが、上記のような会社は非常に多いので、留学エージェントが積極的に斡旋を行っています。そのため、場所を選ばなければ無給インターンのハードルは、ビザの取得も考えると低いと言えます。

アメリカで有給インターンをするにはJ1ビザが必要

「J1ビザ」は、交流訪問者ビザで、基本的に研修や技術の向上が主目的となっている非移民ビザです。最大12~18ヶ月有給で働くことができる研修用ビザとなっています。

しかし、J1ビザは会社が個人に対してスポンサーをする形となるため、

  • 就労する会社が決まっている
  • 就労に必要な英語力を有している
  • 18歳以上
  • 米国に渡航・滞在するのに必要な費用を有している

などの条件が必要になってきます。J1ビザは、アメリカの他の就労可能なビザである、「H1ビザ(特殊技能職ビザ)」や「グリーンカード(永住権)」と比べて格段にハードルが下がるとは言え、トランプ政権下において難易度は上がっています。

しかも、J1ビザを取得するのにだいたい2~3か月ほどの期間が必要となってくるので、大学生にとっては休学したりなどかなり計画的に行わないと、無駄に時間を過ごしてしまう可能性が大きいです。

有給インターンをする場合、ライバルは学生じゃない

会社はJ1ビザのスポンサーをできる枠に限りがあります。そのため、選考の倍率は高くなります。

そのうえ、アメリカでは学生じゃなくてもインターンを行うというのは普通の話です。実際に、日本の大企業で10年以上働いていた人が、アメリカのサンフランシスコ・シリコンバレーにインターンしに来ていたし、周りは普通に受け入れていました。

今や日本の平均年収から見ても、アメリカの有名なテック企業のインターンの給与水準のほうが確実に高い(スタートアップは人を集めるためにもっと高い場合が多い)ので、考えてみれば仕事を辞めてでもチャンスを掴みにくるのは普通ですよね。チャンスを掴みたいと思っている人は世界中にいます。

また、会社側の視点で考えてみると、世界中にオフィスがあればすでにいる他国の社員の中からアメリカ本社にJ1ビザをスポンサーして呼ぶほうがコストも掛からないし、利益になる場合もありますよね。

上記のようなことを考えるとJ1ビザを取得するハードルがいかに高いかがわかるかと思います。

しかし、これだけ見ると絶望的に見えますが、サンフランシスコ・シリコンバレーには数多のスタートアップや会社があるので、チャンスは全然あります。

ビザをスポンサーしてくれる会社を見つける方法

まずは、ググろう。日本語で、「サンフランシスコ インターン」で検索すれば、古い記事ですが、btraxのインターン募集記事がヒットするし、英語で検索すればもっと出てきます。

そして、インターン受け入れをしている会社をリストアップしたら、インターン経験者のブログを探して読み、自身の希望や需要と合う会社をさらに絞り込みましょう。

体験談が書かれているブログが見つからなかったらソーシャルメディアでも探して繋がって直接聞くくらいはしてもよいと思います。

行ってみたい会社が決まったら、コンタクトを取ろう。返事がなかったら再度リマインダーのメールを送っても全然大丈夫です。LinkedInなどのソーシャルメディアでその会社の人事部の方と直接つながって聞いても大丈夫。ありとあらゆる手段でコンタクトを取りましょう。現にそういうコンタクトやメールがアメリカでは結構来ます。

また、コンタクトの内容に、ちゃんと「自分はJ1ビザをスポンサーを必要としている」ことは伝えましょう。会社側はちゃんと枠があるかなど確認してくれるはずです。

スポンサーの件と募集している職種のポジションに自身のスキルがマッチしていれば、面接を取り繕ってくれるはずです。そうしたら、実際に面接をします。

気を付けたほうがいい会社とエージェント

その前に、会社を見つけていく過程でやばそうな会社と留学エージェントはちゃんと見極めましょう。

邦人インターンらの未払い給与支払い命令 米労働省、VCに」という記事でもわかる通り、

米労働省が、フェノックス・ベンチャー・キャピタルにインターンシップ(就業体験)に参加する日本の若者など56人を無給で違法に働かせていたとして未払い給与約33万ドル(約3700万円)を支払うよう命じた。

ということがありました。これは現地の日本人間でもかなり話題になりましたが、こういう会社は多くあります。

また、ESTAなどの観光ビザで、就労を強制したりする会社は避けましょう。もしこれが違法労働として検挙されれば、国へ送還され今後一切アメリカへ入国できなくなるリスクも考えておかないと大変なことになります。アメリカへ入国できないということはその他諸外国でも同様の理由で入国できない可能性も無きにしも非ず。

そのため、ちゃんとインターン経験者の体験談を聞いて参考にしましょう。

スポンサーしてくれそうな会社が見つかったら実際に選考面接をする

会社によって選考プロセスは異なりますが、僕が数社の選考をしてみた感じと聞いた話では以下のようなプロセスが多いと思います。

  1. 書類選考
  2. 技術面接
  3. 役員面接

書類選考

まず、書類選考ですが、英語のResume、Cover letterが必要になります。これらは調べればテンプレートや書き方が出てきますので、参考にしてください。技術職では別途ポートフォリオが必要になる場合があります。

また、英語力は前提となるため、もちろんスキルとは見なされません。英語力がなければマイナスになるというだけでプラスには影響しません。

そのため、募集ポジションに適した相応のスキルと経歴が重要となってきます。これらも調べれば、インターンに受かったときの履歴書やカバーレターを出している人はいるので参考にできるかと思います。

技術面接

これはエンジニア職の場合ですが、日本からアメリカにいる企業の方と遠隔で面接をする場合は、ライブコーディングのサイトを使う場合が多いです。僕が書いたコードがそのままライブで反映されていくので、書き方や順序、考え方などが丸見えになります。(エンジニアとしてはちょっと恥ずかしい)

僕が実際にやった問題は、Rubyで「この配列の中の数字を、今の状態からこのように変更して」というものでした。

このように出題されると、日本人であれば「はい」と返事して「できました」と見せることが多いですが、一番大事なのはコミュニケーションです。

例えば、「何のために配列の中身を変更しますか?」、「どのようなシステムで使いますか?」、「どのようなケースを想定していますか?」など、まずコミュニケーションが取れるということを評定されます。

配列の中身を変更するなど大雑把な指定であれば、何通りでも方法はありますし、ケースを想定して一番適した方法で処理を行うというのもポイントになります。

なので、面接官とコミュニケーションを取りながら上手くコードを書いていくことが大事です。これも調べれば対策法は出てきます。

役員面接

役員と書きましたが、これは配属するならここだろうという仮定で、配属先の直属の上司であったりする場合が多いです。

この場合、完全に面接官によってどのような質問をされるか変わりますが、「この人となら働いてみたい」と思わせることが大事だと思います。

その後、会社と方向性を相談をする

実際に、選考を通過したら、

  • 給与交渉
  • J1ビザ取得に掛かる50万円ほどの費用負担について
  • 日本からアメリカへの交通費
  • いつ頃から働くか

など話していくことになります。

日本にオフィスがある会社であれば、「まず東京で3か月間インターンしながらビザ取得しなよ」みたいな形になることもあります。

実際に僕がサンフランシスコでソフトウェアエンジニアインターンをするに至った経緯

【経験談】大学生のインターンや留学による休学はメリットしかない」という記事でも書きましたが、僕は大学3年次の後期に、大学に在籍しつつ、リモートで取れる講義のみを履修して、フィリピン・インド・中国あたりを放浪しつつ、英語とプログラミングの勉強を半年間していました。

「休学なんてしない」と考える人間だった僕が、フィリピンで出会った友人に「サンフランシスコのbtraxという会社でインターンを考えている」といった話を聞いて、「ほー、そんな選択肢があるのか」と興味を持って調べていくうちに、「休学しよ」となったわけです。

そんなこんなで休学前に、タイミング良くbtraxのFacebookページにて、東京オフィスの正社員エンジニアの募集を見ました。募集していたスキル感としては、うろ覚えですが、

  • HTML, CSS, JavaScript, PHPを触れる
  • データベース、インフラ周りを触れる
  • 経験年数2年以上
  • 国際的な経験があるとよい

といった感じだったと思います。

正社員ポジションの募集ですが、btraxのホームページに書かれていた過去の仕事を見たりしてだいたいのスキル感は予想できたので、「多分僕でもいける」ということで、さっそく東京オフィスの代表にメールでコンタクトをしました。

これまたうろ覚えですが、内容は

  • 経歴
  • スキル感
  • インターンという採用に関わる低コストさをアピール

といった感じだったかと思います。そして、日程を調整してもらって、メールを送った次の週には北海道から東京へ飛んで会いに行きました。

結果、当時の東京オフィスの代表にはダブルブッキングされましたが、次の目的地まで移動しながら面接をしました。(今はbtraxを離れている方で、今でも一緒に仕事をさせていただいてお世話になっている。)

その後、北海道へ帰って「社内でもポジティブなフィードバックだった」というメールをいただいて次の選考へ移りました。

ここから、

  • 書類選考
  • 採用テスト
  • 役員面接

を得て無事東京オフィスでインターンをさせていただくことになりました。

その後、北海道から東京に移ってから、「実はサンフランシスコに行くことを視野に入れている」と伝えました。会社側としては、「3か月間の中で成果を見て、ビザの準備もやっていこう」的な感じでした。

結果、「サンフランシスコに行ったら、こういうポジションでこういった結果を期待している」といった話を頂いて、東京オフィスに入って3か月後に渡米することとなりました。

それから色々あって休学を2年間して、サンフランシスコでずっと働いていました。

数回日本とアメリカ間を移動しましたが、全て交通費も出ましたし、給与も日本水準で考えれば多くもらえました。

まとめ

ここまで難しそうに書いてきましたが、サンフランシスコ・シリコンバレーにはたくさんの企業があります。探せば必ず自身のスキルとマッチしたポジションが見つかります。

日米の就労規則やら法律やら自身で調べたり、経験者に聞いたり、がむしゃらに探せば良いと思います。

学生だからこそ、社会人になる前にインターンをすることは有益だと思います。

あなたがエンジニアやデザイナーであれば、サンフランシスコ・シリコンバレーは間違いなくおすすめできる場所です。

学生ならすべてが許されるという特権があります。とりあえず頑張ってみるとよいと思います。

最後に、インターンが決まったら頑張って結果を出しましょう。アメリカでは、昨日までとなりのデスクで仕事をしていた同僚が、次の日に荷物をまとめて去るということが普通にあります。休学中に路頭に迷うことがないように頑張りましょう!

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Masaki Nishi

Masaki Nishi

現在はAmazon Web Servicesで働きながら、オレゴン州立大学のコンピュータサイエンス学部にて社会人学生をしています。 昨今の急激な円安に伴う学費の高騰に嫌気が差しています。

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