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Masaki Nishi
ソフトウェアエンジニア

オレゴン州立大学のオンラインCS学士号を1年半で卒業した

社会人学生として仕事と学業を両立する難しさについて語る

オレゴン州立大学

こんにちは、です。

フルタイムでエンジニアとして働きながら、1年半でアメリカのオレゴン州立大学のコンピュータサイエンス学士プログラムを卒業し、学士号を取得したため、これまでの道のりを備忘録として残したいと思います。

プログラムに入学するまでの話については、下記記事にまとめています。

なぜオレゴン州立大学の第2学士号コンピュータサイエンスプログラムを始めたのか

エンジニアとして働きながらコンピュータサイエンスの有用性や必要性を感じつつも、表面的な技術を擦り続けていて、本腰を入れて学ぶ機会がありませんでした。

また、学問として体系的に学んでこなかったという一種のコンプレックスをずっと感じていたので、発展的な内容を扱う大学院ではなく学部から入る決断をしました。

オレゴン州立大学は、第2学士号としてのコンピュータサイエンスプログラムをオンラインで提供しており、通常の4年制の学士号プログラムに編入する場合に比べて単位移行の手間がなく、無駄な教養科目を受講する必要がないといった利点がありました。

プログラムの運営年数や評判、人気度などを考慮すると、アメリカのオンラインの第2学士号コンピュータサイエンスプログラムはオレゴン州立大学ほぼ一択ではないかと思っています。

卒業してみてどうだったか

概ね期待値通りでした。特にアルゴリズムやアーキテクチャ、オペレーティングシステム、プログラミング言語の授業が素晴らしく、素晴らしい教材による理論的な学習とプロジェクトの割合がうまく構成されてました。

不満はあるか?

一方で、ウェブデベロップメントやソフトウェアエンジニアリングなど、ブートキャンプ的な構成でグループプロジェクトが存在するクラスが必修科目とされていることに不満がありました。

グループプロジェクトでは、同じ学費を払っている学生に対して私が教える立場になることが多く、大学という場でその立場を担う意義は見出せませんでした。

どんな授業を受講したか

単位移行するためにコミカレで受講したクラス

Clackamas Community Collegeで下記表のクラスを受講し、12単位相当を移行しました。詳細は下記関連記事にまとめています。

学期 番号 名前 Grade 難易度 作業量/週
2022 Winter CS161 Intro to Computer Science I A 易しい 4.7時間
2022 Spring CS162 Intro to Computer Science Ⅱ A 普通 5.8時間
2022 Fall CS260 Data Structure A 難しい 7.1時間

単位移行するために他大学で受講したクラス

University of North Dakotaで下記表のクラスを受講し、4単位相当を移行しました。詳細は下記関連記事にまとめています。

学期 番号 名前 Grade 難易度 作業量
2022 Fall MATH208 Discrete Mathematics – Univ of N Dakota A 難しい 200時間

オレゴン州立大学で受講したクラス

オレゴン州立大学で下記表のクラスを受講し、45単位分となりました。詳細は下記関連記事にまとめています。本記事の1年半という単位はこの期間を指します。

学期 番号 名前 Grade Grade % 難易度 作業量
2023 Winter CS290 Web Development
A 100.78% 易しい 70時間
2023 Summer CS271 Computer Architecture and Assembly Language
A 100.49% やや難 70時間
2023 Fall CS325 Analysis of Algorithms
A 98.85% 難しい 119時間
2023 Fall CS340 Introduction to Databases
A 100.79% 易しい 71時間
2024 Winter CS361 Software Engineering I
A 101.40% 易しい 44時間
2024 Winter CS374 Operating Systems I
A 100.00% 難しい 118時間
2024 Spring CS362 Software Engineering II
A 97.04% 易しい 48時間
2024 Spring CS381 Programming Language Fundamentals
A 99.60% やや難 62時間
2024 Spring CS464 Open Source Software
A 100.00% 易しい 31時間
2024 Summer CS406 Projects
A N/A 易しい 140時間
2024 Summer CS467 Online Capstone Project A 102.67% 易しい 59時間

フルタイムの仕事との両立はどうだったか

プログラム期間中の大半はAWS Japanに在籍しており、幸いなことにとても業務調整がしやすく、周りにも修士号や博士号課程に在籍している方がいるという環境でした。

また、プログラム自体も非常に調整がしやすい仕組みが整っており、当然の如く通学は必要ありませんし、講義視聴や試験などは非同期にでき、特定の時間に同期的に進める必要はありません。他にも、学期中にクラスを一つも受講しないことで、申請プロセスなど無しに学期中の短期的な休学という形をとることができます。

実際に2023 Springは一つも受講していませんし、1クラスのみ受講している学期もあります。振り返ると1年で卒業も可能だったなと思いますが、燃え尽きても仕方がないのでちょうどよかったかなという感想です。

最終的な学費

Clackamas Community College

  • Winter 2022
    • $1,182
  • Spring 2022
    • $1,202
  • Fall 2022
    • $1,226
  • 合計
    • $3,610

University of North Dakota

  • Fall 2022
    • $1,189.64

Oregon State University

  • Admission Deposit
    • $2,000
  • Tuition with Scholarship for 30 Credits
    • $13,390(Admission Deposit分とScholarshipの$3,000分を引いた金額)
  • Winter 2023
    • -$2,452(上記30クレジット分に含まれるので支払い無し。4/30クレジット消化)
  • Summer 2023
    • -$2,452(8/30クレジット消化)
  • Fall 2023
    • -$4,904(16/30クレジット消化)
  • Winter 2024
    • -$4,904(24/30クレジット消化)
  • Spring 2024
    • $3,678(30/30クレジット消化。総額$7,356で超過6クレジット分の金額を支払い)
  • Summer 2024
    • $4,268.52(CS406が5単位でオンキャンパス扱いとなったため、11単位分だけど安くなってます)
  • 合計
    • $23,336.52

卒業までの合計金額

合計$28,136.16となりました。プログラムを検討していた2022年当時はドル円115前後だったため、円にすると¥3,235,658.4でアメリカの大学であることを考えると破格でした。

ただし、授業料全てを当時の為替で賄えたわけではないので、350万~400万円近くの出費になったと思います。

Scholarshipやコミカレでの単位移行などで費用を抑えなかった場合は、60単位分をオレゴン州立大学で順当に受講することになります。

2022年当時は1単位あたりの学費が$527であったため、計算すると総額費$31,620=¥3,636,300となり、現在の為替を考慮すると400万円は優に超えていたはずです。

2024年12月現在は、1単位$577で総額費$34,620となり、現在の為替であるドル円150前後で計算すると¥5,193,000ほどになります。大学のカリキュラムに大きな変化がないにも関わらず、アメリカのインフレとそれに伴う為替の影響により100万円以上も学費が高騰してしまいました。

私はありがたいことに十分な報酬を仕事でいただいていたことに加えて、フルリモートで地方在住だったため、QOLを下げることなく勉強に専念することができましたが、インフレに伴う毎年の学費高騰と為替への影響から気軽に勧めることができなくなってしまいました。

まとめ

卒業後の進路として、テキサス大学オースティン校とジョージア工科大学のオンラインのコンピュータサイエンス修士号にアプライして両校に合格したので、どちらかに進学する予定です。

日本の学位だけでは両校の合格は難しかったと思いますし、入学後も大学院での授業にスムーズに入れるかと思うので、総合して学士から始めてよかったなと思います。

ただし、現在の学費を基準にしていないということに留意していただきたく思います。

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Masaki Nishi

サンフランシスコ・シリコンバレーでのインターンや外資SIer、メガベンチャーでのエンジニアを経験後、現在はAmazon Web Servicesに勤務。

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