新卒半年で外資IT企業を退職しメガベンチャーに転職した理由
こんにちは、Masaki Nishi@Twitterです。
初めましての方に簡単に自己紹介すると、大学を2年間休学し、2年弱サンフランシスコでソフトウェアエンジニアとしてインターンをした後に復学し、新卒として外資IT企業に入社した24歳新卒です。
そして、4月入社してから9月に退職し、10月にメガベンチャーへ移るというスピード感のある退職および転職をすることに至ったのですが、その理由を書いていきます。
退職理由
一言で言うと、自分の描いているキャリアパスと配属先プロジェクト内容のミスマッチです。
もう少し詳しく説明していきますが、時系列に沿って、なぜこの会社を新卒で選んだのかというところから話していきます。
某外資IT企業を選んだ理由
厳密には外資IT企業の100%出資の子会社となります。子会社と言ってもかなり大きいですし、最近は子会社3社が合併されたこともあり、規模的には大企業の体制に近いです。
以下は、この会社を選んだ理由です。
- 地方で面接が全て終わる
- 給与が良い
- フィンテック領域の最新技術に触りたかった
まず、1つ目ですが、サンフランシスコから帰国してすぐに大学4年次の復学ということもあり、就活する時間がなかったのと、面倒くさいという理由で住んでいる地方で就活を完結させたかったからという理由です。
2つ目は、単純に新卒としては給与が高いことです。本社の方が基本給は高いのですが、残業代が出ません。一方で子会社は残業代が出ることもあり、結果的に給与が高くなるからです。長く働くことによる出世等を考慮しないのであれば、子会社の方が給与が良かったし、地方都市勤務であれば毎月の支出を減らせるうえに県外への引越しの手間もないので魅力的でした(新卒で都心って結構支出大変だよね…東京は人が住むところじゃないし)。
3つ目は、ブロックチェーン周りの技術に触れたかったという理由でした。当時は将来的にドイツに行くことも考えていたので、ドイツではフィンテック系のスタートアップの勢いがあるということで、経験として金融領域に携わっていれば、向こうでの就職も有利になると考えていたからです(コロナで計画が全てパーになりましたが…)。
以上3つが新卒先として選んだ理由ですが、3つ目で説明したキャリアパスと配属先のプロジェクトの差がありすぎて、早めに転職するに至りました。以下に具体的な転職理由を書いていきます。
キャリアパスとのミスマッチ
ここも時系列順に書いていきますが、まず採用面接時に「ブロックチェーンなどの最新技術に触りたい」と強く主張させていただきました。そして、面接官からの返答としては、「そういう案件もあるので携われるよ。」ということでした。会社のコーポレートサイトでもそういった案件についての記載があったので完全に信用していましたし、内定をいただいたので、そう言った案件に配属される準備ができていると思っていました(甘い)。
そして、内定を受諾したのですが、配属先希望アンケートで、「ブロックチェーンなどの最新技術に触りたい。COBOLなどによる汎用系開発・保守等はキャリアパスとして考えておらず、性格的に合ってないので、モダンな開発ができる部署への配属を強く希望している。」と強く推させていただきました。
その後に、入社前の段階で勤務先の住所を知り、この段階でかなりリサーチをして、どのような案件を扱っている部署が勤務先に入っているのかを予め知ったのですが、「メインフレームの古いシステムを保守する部署に配属される可能性に満ち溢れているぞ…? 」ということで、あえて勤務先の近くに引っ越すのではなく、市内の利便性の良い場所に引越して、すぐ異動できるような体制にしました。
案の定、入社後の研修中に先輩社員にお話を聞いたところ、「自社が開発した古いメインフレームをこれまた自社 が開発した古い言語で保守をする部署」ということを聞き、その段階ですぐに部長に異動の打診をしました。
当然のことながら、レガシーな社内独自技術を新卒1年目で携わるとなるとキャリア的に相当なリスクを負うことになりますので…。特にエンジニアという職種は、転職市場において”実務”経験年数が重要視されますので、社内独自技術を用いた汎用系開発の実務経験を3年積んだ第2新卒なんて社外、もしくは社内でも金融事業部を抜けたら行き先なんてほとんどないという未来がハッキリと見えてしまいました。
その後も、事業部長と部長との三者面談を設けたり、異動希望先の部署の事業部長の方とも直接お話しさせていただける時間を作ったりしましたが、何ヶ月も打診した最終回答としては、「そういった最新技術を扱う案件は今はない」「オープン系開発の部署も人が足りている」「異動できたとしても最短で1年後、それ以降も不明」というものでした。この時すでに7月下旬でした。
考えてみればすぐわかるのですが、金融業界は古いシステムが何年も動いてますし、メガバンク以外の銀行さんはシステム刷新するほどの体力もないし、最新技術を導入しようなんて考えないんですね。そういった開発はスタートアップやベンチャーがやっていて、そこが某外資IT企業のようなSIerに案件を投げることはまず考えられません。ほとんどが自社開発をしています。
完全にそういった案件があると過信して、金融業界の現状や実態をリサーチしていなかった自分の落ち度ですが、これが結果として、7月下旬に異動打診の回答をいただいた段階で、即日、職務経歴書と履歴書を作成し、某メガベンチャーに送りました。
結果的に最初に履歴書を送ったメガベンチャーの内定を頂いたので転職理由の妥当性は認められたと勝手に思ってます。新卒は3年は在籍しろみたいなものは完全な偏見であるという証明はできたのかなと思います。賛否両論あると思いますし、以前に僕が3年弱、同じ会社でフルタイムのインターンをしていたという特殊なバックグラウンドも考慮されてると思いますが…。
他の理由
詳しく書くことは伏せますが、携わっていたプロジェクトは世のエンジニアの方々が一般的に想像するプロジェクトから、かけ離れたものだと思います。ただでさえ何十年も前の技術とシステムの保守なのですが、それにいろいろ要因が加わってました。
そういった諸々の影響や他要因も多数あり、非効率な作業に割かなくてはならない時間が1日の多くを占めるということで、ポジティブに汎用性の高い金融業界全般の知識や上流工程の知識をインプットしていこうと考えても、学習効率が悪いということでフラストレーションが溜まっていきました。
「少なくとも何かしら学びがあるでしょう?」「何をそんなに生き急いでるの?」と社内でいろいろな方から言われ、納得する点もありますし、個人の考えを否定するつもりもないのですが、「費やした時間に対して有用なインプット量が限りなく少ない」ということがモチベーションを下げる大きな要因となり、当時の仕事に対して、自身のパフォーマンスを100%引き出せる自信がありませんでした。
また、SIer特有問題ですが、ただひたすらに要件に沿って開発していくことに面白味を感じませんでした。
さらに、上記の理由等々は、完全に僕目線の独断と偏見による評価なので、周りの方々に聞いたり、客観視して配属された部署を観てみました。
正確な年齢は知らないのですが、部署に30代の方が少ないように見え、年配の方か新卒で入った人が大多数だったので、
- 働き盛りの30代の中途採用者がいない=その仕事に魅力がない
- 新卒から30代まで続けている人が少ない=すぐ辞めている
と判断しました(化石システムの保守ということもあり、年齢層に偏りは出るかと思いますが…)。実際に先輩社員に離職率等を聞きましたが、それなりに大きい数字だったと思います。正確な数字は不明ですし、他の会社をあまり知らないので、それらはご想像にお任せしますが…。ただ、同じ部署の同期が15人前後いたかと思いますが、僕より早く辞めた方が一人いて、他にも片手に収まるほどの人数が辞めると話していました。
色々と不平不満を書いてきましたが、配属以外に関しては満足しており、ガチガチの日本企業よりも風通しがかなり良い会社で、トータルで見たらとてつもなく良い会社だと思います。
配属先の方々は超が付くほど優しい方々でしたし、異動ができていればもっと働きたいと思える組織でした。ほぼ研修とOJTしかしていない奴に対して、有給15日消化とボーナスまでくれるんですから控えめに言って神です。そんな神を冒涜している気がするので、そのうち罰が降りそう。
新卒一括採用制度にしてやられた
上記の根本的な問題は会社ではなく、新卒一括採用制度にあると思っています。それらのデメリットもわかっていたことですが、甘く見ていたせいで、新卒一括採用という制度にしてやられました。
正直「配属に満足してない人は、希望をストレートに強く言ってないのに加えて、異動させる事による会社側のメリットを提示できていないんだろうな。」「新卒採用というカードを使えば楽に就職できるなぁ」と考えていた自分がバカでした。
そんな簡単に事がうまくいかないし、新卒のペーペーが配属してすぐに異動なんて無理でした。実際に異動の打診をしたときに、「印象よく思われないだろうし、難しいけどそういったリスクを背負って異動を希望する?」と優しく聞かれました(それでもと押し切りましたが)。
正直会社側からすれば、新卒って扱いやすいんですよね。中途と違って何にも染まっていないので、どこかしら割り振ればことがうまくいくんですよね。たとえ、その配属がその人の将来のキャリアパスに大きく影響するとしても、新卒でそんなこと考える人は少ないですから…。
新卒一括採用制度は廃止するべき
最初から部署と職務が分かっていれば、確実に今回の部署の内定を受諾しなかったし、他に内定をもらっていた企業へ行っていました。ましてや最初から応募すらしなかったです。
最初から都合よく職務内容が詳しくわかるわけないだろ新卒に!と思われる年配の方もおられるかと思いますが、新卒でも最近増加傾向にあり、中途採用に多いジョブ型雇用は、最初から仕事の職務内容や部署が決まっていて、その条件に対して人材が応募するので、仕事に対して人が割り振られます。そのため、当然離職率は低くなります。
一方で、従来の新卒一括採用制度は、人に対して仕事を割り振る形で、本人の希望よりも、第3者が適性を勝手に決めて仕事を割り振ってしまうので、そりゃ満足度も低くなって離職率も高くなるだろうと…。
賛否両論あると思いますが、明らかにジョブ型雇用の方がメリットが多いので、新卒一括採用制度は廃止すべきです。「最近の若者はすぐ辞める」なんて言っている場合ではないのです。既存の採用制度に対して何も疑いもせず、すぐ辞める若者に疑いの目を向けるのはやめていただきたい。現状の採用制度に問題があるというように、様々な観点から問題意識を持って改善していった方が良いですよ。と、被害者は社会に語ります。
これを見ている人事採用担当者の方は、よろしくお願いいたします。
最終的には第一希望かつここで働きたいと思える企業に運良く巡り合え、転職することができたので、right time, right placeということで、最終的には良い結果となったと思います。短い間でしたが、前職の企業には感謝しています。ありがとうございました。
(改めて思うけど、研修3ヶ月後に、配属された初月から転職活動を始めて、1ヶ月で内定をもらい、最後の1ヶ月で業務引き継ぎと退社手続きって、かなり異例ですね… 。)
転職先について
実を言うと、今ここのパートを書いている段階で、転職してから半年が経ち、つい先日に新卒1年目をようやく終えました。半年づつ2社に勤務した形となります。
現職については、ジョブ型雇用で中途採用として入社したため、入社前の印象と入社後半年経った現在も大きい差はない印象です。入社面談時でも、僕のやりたいことを踏まえて、部署の仕事や実情、内情を詳しく話していただいたので、とても親切な印象を受けました。
半年間たくさん学ばさせていただきながら、RailsエンジニアとしてDocker, Kubernetes, CircleCIを触りつつ、Site Reliability Engineeringをやらせていただいてます。
今振り返ってみても、あのまま前職でCOBOLよりもマイナーな言語を扱って1年を過ごすよりも、転職してWEB開発を経験した方がエンジニアのキャリアパスとしては明らかに正しい方向に進んでいる実感はあります。
一点後悔があるとすれば、一生に一度の新卒同期との関係性が切れてしまったことです。コロナ禍で研修からずっと在宅で、同期とのコミュニケーションはほぼ皆無だったため、転職をしてから一切連絡を取らなくなりました。周りで同期とご飯へ行くとか、起業したとかを聞くと羨ましくもあります。
まとめ
以上が新卒半年で退職して、転職した話になりますが、一つだけ言いたいのは「嫌だったら辞めてもいい」と言うことです。そして、何が嫌だったのかを明確化し、それが今の仕事に要因があるのであれば、転職をすればいいです。
転職活動自体、勤めている会社にバレることがなければほぼノーリスクなので、とりあえず働きながら転職活動を始めてみることをおすすめします。転職活動で運良く内定がもらえれば、転職すればいいし、内定がもらえなくても、今はここで頑張ろうという踏ん切りがつくことだってあり得ますしね。
働きながら転職活動をするのはなかなか難しいですし、人に相談もしにくいので、結構ハードなのですが、そういった方に向けて、そのうち転職活動で何をしたか、何が大変だったか、内定を得たコツ等々をYoutubeで発信できればと思ってます。